国産、外車、トレーラーにかかわらずほとんどが冷蔵庫は3ウエイ方式のものが取り付けられています。
 3ウエイ冷蔵庫は100V、12V、LPガスの3つのエネルギー源で使用でき、使用場所を選びません。
 しかし、長年使用している場合や、保管時にも冷蔵庫を運転している場合は
必ず劣化が進んでいます。
 3ウエイ冷蔵庫の冷えが悪い!長く使用したい!という場合は思い切ってオーバーホールをやりましよう。
 3ウエイ冷蔵庫を長持ちさせ、新品時の機能により近づけるために、このページでは3ウエイ冷蔵庫のオーバーホールについて説明します。
 但し、オーバーホールは
個人で出来る範囲内の内容について取り上げています。アンモニア抜けなどは、特殊な工程が必要になりますので個人で無理です。




@冷蔵庫の取り外し
@  固定ボルトを外す
 冷蔵庫は全面両サイド、裏面にビスで固定されている場合が多く、それらのネジを外すことにより取り外しできる場合がほどんとです。まれに、冷蔵庫の周りをシーリングしている場合もありますのでその場合はカッターでシール部分を切ります。

A  ガス管を外す
 ガス管を外す前に、ガスの元栓をしっかり締めます。
 ガス管はモンキーを使うと比較的楽に回せます。この場合あまり力を加えすぎると冷蔵庫側の管を破損してしまいますので慎重に行うことが大切です。
B  配線を外す
 配線は差込式、またはネジ止めになっていますので冷蔵庫に接続されている配線を全て外します。このとき、
配線の順番が分からなくならないようにテープで色分けしたり、マジックなどでマーキングして順番がわからなくならないようにします。


A 冷蔵庫を引き出す
@  固定ビス、配管、配線が全て取れたら徐々に左右に動かしながら引き出します。



B カーボン除去作業
@ バーナー部分
 まず最初にガスの点火部分。燃焼部分のビスを外し中を見るとバーナー部分があります。ここに黒いカーボンが付着している場合はその
カーボンを除去します。
バーナー燃焼ケースとガス管を外したところ 錆びが発生しており、さらに燃焼によるカーボンが粉状になっている
A オリフィス部分
 ガス管からガスを高圧力で燃焼部へガスを送り込んでいる部分です。
このオリフィスが詰まると燃焼部分へのガスの供給量が少なくなったり、ガスが止まったりします。これが原因で、燃焼が弱くなり冷えが弱い状態や燃焼しなくなり全く冷えない状態になります。
 オリフィスはブレーキパーツクリーナーやキャブクリーナーなどで内側から外に向かって吹き、その後エアーで吹きます。
 爪楊枝の先端などを使ってもカーボンが取れますがオリフィスの穴は非常シビアですので細心の注意が必要です。本冷蔵庫はオリフィスの詰まりはありませんでした。



C 冷却ユニットの錆除去と防錆処理
@ 錆と冷却ユニットの故障
 背面の冷却ユニット管などには錆が発生している場合があります。特に古いキャンピングカーの冷蔵庫や、新しくてもガスの使用頻度が多いユーザーの冷蔵庫に多くある現象です。

 原因は・・・・・・
● ガスの燃焼によりユニットが高温にさらされる
● 高温になった冷却ユニットが使用をやめると冷やされ冬場などは管の周りが結露する。
● 冷蔵庫背面は外気が取り入れやすくなっており、外気の湿気の影響を受ける。

 上記のような要因が重った場合錆が発生しやすい原因になります。
 また、冷却ユニットの熱が加わる部分にに断熱材をまいているタイプもありますが、湿気をもった断熱材が錆を促進させている場合もあります。
 
このような状態で使用を続けると錆がますます促進され、引いては腐食による冷却ユニットの管に小さな穴があき、そこから冷媒のアンモニアが出る場合があります。この場合はユニットごと交換するか冷蔵庫を新品に交換しなければならなくなります。
 
冷蔵庫から強いアンモニア臭がして全く冷えない場合は冷却ユニットの穴あきが原因です。
 過去に、アメリカの冷蔵庫の販売、修理の業者数社に問い合わせたところ、この手の故障が多いとのこと。またこの手の故障をリビルトする専門の会社もアメリカにはあります。但し、日本からリビルトオーダーをした場合は往復送料・工賃などを考えると新品を購入したほうが安く済むみます。
A 赤錆を黒錆に変える
 冷却ユニットやバーナーのケースなど錆が発生している部分の錆をワイヤーブラシやサンドペーパーなどを使い除去します。このとき、出来る限り錆を落とします。錆が残っていると錆の再発となってしまいます。
 
冷却ユニットに発生している錆は俗に赤錆と呼ばれるものです。赤錆は鉄を腐食させぼろぼろにします。この赤錆をそのままにしておくと最悪の場合、ユニットに穴があいてしまいます。
 この悪い錆=赤錆を
黒錆(良い錆)に変えます。赤錆や鉄に塗ることで黒錆へ化学変化をさせる液体が市販されています。モデルガンなどもこの液体を利用して鉄を黒錆にしています。黒錆は腐食を防止します。

赤錆 黒錆に化学反応
処理前 黒錆処理後耐熱塗料を塗る
処理後の冷却ユニット バーナーのケースのパッキンも痛んでいたのでエンジンシーラーでシーリング処理。この処理により燃焼不良が解消
この防錆処理をすれば錆が再発しないというわけではありません。錆の再発を極力押さえるためです。



D 熱処理
 純正で取り付けられていた石綿。管の腐食で茶色の錆が付着している状態。石綿自体あまり材質が良いとはとても言えない石綿です。  左の石綿に変わる素材。ロール上になっているのは自動車のエキゾーストに使用する断熱材(石綿)帯状に巻いていくもの。F1のマフラーにも使用されているものです。  左の石綿を巻いた状態。この断熱効果は非常に優れており、この状態で触っても熱が伝わってこないほど断熱効果がある優れものです。
 銀の断熱シートを巻いた状態。この部分はバーナーで熱せられて温度が高い部分。この部分に熱を加えて冷媒を蒸発させています。ということは、この部分は温度が高ければ高いほど良いということになります。これらの断熱材を巻くことにより熱を外に逃がさす熱効率が良くなります。このシートはボンネット裏に使用するものでこちらも断熱効果があります。  ハーネスも車の振動によりいつ抜けてもおかしくない状態。引っ張ると僅かな力で抜けてしまいます。  一旦ギボシを抜き、接点復活材を塗布しハーネステープで巻きます。



E 断熱処理と冷却効率
 純正のスカスカの断熱材は熱が逃げても当然の状態。ということは、熱効率が悪くバーナーで加熱したエネルギーを大気に放出している状態です。
 また、スカスカの断熱材はその中に大量の空気を含むため、結露の発生量が多くなり、そこに錆びが発生します。
 この断熱処理をすることで熱効率も上がり冷えの時間の短縮(
測定結果から処理前より0度まで下がるのに約12分短縮)、冷却温度を下げる(測定結果から約2度変化)が見られました。
 コンデンサー部分にコンピューター用ファンを取り付け、排熱させることで冷却効率を上げる方法もありますが、断熱処理による効果は上記測定の結果から充分満足できるものでした。
 



F 3ウエイ冷蔵庫オーバーホールを終えて
 3ウエイ冷蔵庫の背面ユニットの錆は案外進行している。
 断熱材を高性能のものに変更することにより熱効率があがり、冷却効果を高めることができる。
 バーナーのケースのガスケットの密封性をよくすることによりガス点火による燃焼不良を解消できる。
 各ギボシ部分に接点復活材を塗布し、ハーネステープで処理することで漏電や接点不良を回避できる。
 錆処理をすることで冷蔵庫ユニットの寿命を延ばすことができる。
 アメリカ製のパーツはハーネス処理や防錆対策などがかなり不十分です。それなりの対処をすることで寿命を延ばし快適に使用することができます。



G こんなユーザーは要注意!
 錆を発生する原理の1つとして、冷蔵庫の使用を止めたとき加熱されたユニットの鉄管が冷え結露します。高温の鉄に水分が付着すると錆が発生、促進されます。例えば車のマフラーが良い例です。エキゾーストマニホールドは錆だらけです。またマフラーも錆びて折れることさえあります。このように熱が加わる鉄は非常に錆びやすい状態にあります。

 基本的に、熱が高い順番は
 @ガス運転
 A100V運転
 B12V運転 です。
 冷える=高温になるです。
 ということは、
ガスで常に使用しているユーザーや自宅駐車場で常にガス運転をしている冷蔵庫は腐食に要注意です。
 入れっぱなしはそれほど錆びの心配はいりませんが、ガス運転で入れたり切ったりするユーザーはかなり要注意です。
 もし、背面ユニットが見えるようでしたら一度覗いてみましょう。見えない場合は鏡を使えば見えることもあります。また、必要に応じてオーバーホールをお勧めします。

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