キャンピングカーで起こりがちなトラブルにベーパーロック現象があります。(Vapor=蒸気の意)
 俗に言う”エアーがかんだ状態”です。”エアーをかんだ”ブレーキオイルは非常に危険です。
 このページでは,ブレーキにトラブルを発生させにくくするための走行法や,ブレーキのエアー抜きについて解説します。
  
エアーをかんだらどうなるの?
 エアーをかんだブレーキは以下のような症状が発生します。
■ 低度の場合:ブレーキの効きが悪くなる。(ふみ応えがなくなり,制動距離が伸びる)
■ 重度の場合:踏み応えが全くなくなり,ペダルが奥まで入ってしまう。
■ 重度の場合:ブレーキが効かず,事故を発生する。
どうしてエアーをかむの?
 長い下り坂でフットブレーキを多用すると,ブレーキパッドとディスクローターの摩擦により極度に過熱します。摩擦係数は温度が上がれば上がるほど小さくなるため,このような過熱が続くとブレーキの効きが悪くなることがあります。この現象を”フェード現象”と呼びます。
 この非常に高くなった熱は,ブレーキキャリパーへ伝えられキャリパー内のブレーキオイルに伝わります。この熱によりブレーキオイルが沸騰し,オイル内に蒸気と気泡が発生するといわれています。この状態で,ブレーキを踏むとその気泡を押しつぶす力に吸収されブレーキピストンまで伝わらなくなってしまいます。この現象を”ベーパーロック現象”と呼びます。
どんな場合に気泡が発生するの?
 上でも述べたように,長い下り坂などでフットブレーキを多用した場合や,走行しながらブレーキペダルに足をかけている場合など気泡が発生しやすくなります。普通乗用車でも同様ですが,キャンピングカーの場合は,車重が重いためブレーキの温度も無架装状態と比較してかなり高温になっていることが想像できます。
 その気泡の発生は,下り坂の途中ではなく坂の終わった平坦地などで起きるといわれています。
 これは,ブレーキオイルは密閉された状態にあり,そのオイル・ブレーキホース・キャリパーなどの間には必ず空気が存在し,その空気が過熱されることによって益虫で微小な気泡となるといわれています。さらに,ブレーキオイルには水分が含まれていてその水分が気泡の中に蒸発し,さらに気泡を大きくするといわれています。
気泡を発生させない運転法は?
 気泡を発生させないために,下り坂では,エンジンブレーキを多用してフットブレーキの使用時間を極力少なくすることです。但し極端なシフトダウンは,エンジンやミッションを痛めることがあります。速度に応じてブレーキ効果があるレンジにダウンすることが必要です。
 また,もしブレーキが効かない場面に遭遇した場合は,5〜6回ポンピング(ペダルを踏んだり離したりする)を繰り返し,その後踏み込むことでブレーキが効くことがあります。但し,この場合,気泡はまだブレーキオイルライン内に存在しますので,”エアー抜き”を行う必要があります。
 さらに,平坦な安全な場所に駐車して,ブレーキの温度を冷やしてください。(温度を冷やすために,水をかけることは禁物です)
ブレーキのシステムは?
注:左図は後輪はドラムブレーキの図

ブレーキは主にマスターシリンダー,マスターバッグ,リザーバータンクなどで構成されています。

マスターマスターシリンダーは普通乗用車などでは,ボンネットをあけると大きく黒い円盤状のものの横についています。
 またマスターシリンダーの上についている白い樹脂の容器には,ブレーキオイルが入っています。この容器がリザーバータンクです。
 左図でもわかるようにブレーキペダルを踏むと,マスターシリンダーの中のピストンが作動して液圧を発生,4つのホイールについているブレーキパッドをディスクローターに押し付け摩擦により回転を止めます。
 マスターバックはエンジンのインテークマニホールドに発生する負圧をここへ流し,ペダル踏力に見合った力を補助しています。
 ディーゼル車の場合,マニホールド負圧が発生しないため,オルタネーターにエアポンプをつけ負圧を発生させ,それをマスターバックに引き込んでいます。昔の車輌はこのような補助システムがありませんでした。
キャンピングカーのブレーキメンテナンスは?
 キャンピングカーのブレーキは普通乗用車と比較した場合,ブレーキにとって悪い条件が多数くあります。
 その1つに車体が重く,ブレーキの過熱によりエアーをかむことがある。
 2つめに,毎日乗らないためキャリパー内のピストンが固着してしまう。
 3つめに,長期に乗らない場合は,キャリパーのダストカバーにくせがついてしまい,固着したダストカバーは破れることがある。
 4つめに,長期に乗らない場合,キャリパーが固着し,ブレーキのひきづり,パッドの異常磨耗が発生することがある。

 ピストンももちろん,オーバーホールが必要です。マスターシリンダーのオーバーホールは6〜7年といわれていますが,キャンピングカーは短いサイクルで行うことが大切であると思います。
 また,長期にキャンピングカーを利用しない場合でも,エンジンをかけ車輌を前後に動かしたり,ブレーキペダルを何度も踏みピストンを動かすことが大切です。
ブレーキのエアー抜き実践編 クラスA P30シャーシ
 左写真は,ブレーキオイルを抜くためのエアー抜き用のニップルを緩めているところ。
 少し緩んだところでこのニップルにあうホースを差し込む。
 できればホースは透明のものを使用する。これは,ブレーキオイルの汚れや気泡を確認するため。
 ニップルにさした透明ホースは,牛乳瓶などキャリパーより低い位置に口がくる瓶を準備しそこにホースを挿し,オイルを溜める。
 今回は,ブレーキのオイル抜き専用工具を使用するため,瓶は使用しない。

 ニップルに透明ホースを挿したところ。
 今回は,専用のオイル抜き工具を使用するため,透明ホースをオイル抜き工具と接続する。
 この状態でさらにニップルを緩めるとオイルが出てくる。工具を使えば工具の操作でオイルがじょろじょろと出てくるが,工具がない場合は1人にブレーキを1,2とポンピングをしてもらい3で奥まで踏んでもらう。それと同時にニップルを緩めオイルが出たところで,ニップルを閉める。そして,再度その作業を繰り返す。
 もし,気泡が発生していれば,この作業の時に気泡が抜けていくことが確認できる。また,汚れたオイルが綺麗な透明に近い色に変わっていくのが確認できる。
 4輪とも行う場合はマスターバックから一番遠い位置のキャリパーから行うようにする。
 また,オイルが抜けた分オイルタンクはオイルが減少している。タンクのオイルが少なくならないうちに新しいオイルを継ぎ足すことが必要。もし空にしてしまうとエアーをかんでしまい大変な作業になる。
ブレーキ関連まめ知識
 車検時にエアー抜きを行っているという思い過ごしは禁物!車検に出す場合は必ずエアー抜きを行ってください!とお願いしましょう。


 長い下り坂を走行してブレーキ温度を冷やそうとして水をかけることは禁物!ディスクローターが割れる場合があるため,自然放熱を基本に!
 ブレーキオイルのグレードは同一のものを!
 ブレーキオイルにはDOT-4やDOT3,DOT5などといったグレードがあります。DOTという呼称はアメリカ運輸省規格の表現。ブレーキオイルにはドライ沸点,ウエット沸点がある。これらの沸点は,オイルのグレードにより異なり,異なったオイルを混ぜると沸点が低下したり,化学変化して変質する可能性もある。
 無闇にグレードをアップすることにより気泡は発生しにくくなりますが,温度の上昇によりキャリパーやその他の部品を悪影響を及ぼすことも考えられます。
グレード ドライ沸点 ウエット沸点
DOT3 205以上 140以上
DOT4 230以上 155以上
DOT5 260以上 180以上

 
ブレーキオイルの交換,エアー抜きは細心の注意を払いながら作業を行いましょう。誤った作業は命に関わる事故にもつながりかねません。また,ジャッキアップする際には,必ず補助の突っ張りをして身体の安全対策を!
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