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ブレーキに関して - その1. エンジンブレーキ

RV(自動車)を減速させる為にはブレーキが必要で、運転者が足でペダルを踏んでブレーキシュー又はブレーキパッドで車輪の回転を遅くしますが、この種の身近なブレーキの他にエンジンブレーキ、排気ブレーキ、ジェイクブレーキ、更にはリターダーと呼ばれるトランスミッションに備わったブレーキ装置があります(制動装置を総称してリターダーと呼ぶ場合もある)。 

RVを購入の際にスタイル、燃費、色、大きさ、間取り、エンジンパワー等は大いに気に成りますが、それらと同じ様に大切なのが制動性能又は制動装備で、RVが重量化すればするほどこれ等は大切になります。 

2回に分けて、日常余り見慣れていないブレーキに関して書こうと思います。 

A. エンジンブレーキ
アクセルペダルから足を上げますとエンジンへの燃料の供給が止まり、車は多少減速します。 しかし、下り坂で車を減速出来るほどの力ではありません。 

1. シフトダウン
急な下り坂を走行中にエンジンブレーキで減速する為にはギヤーを下げなければなりません(シフトダウン)、即ちトップギヤーで走行中はより低い4速、又は3速、2速にシフトダウンすれば、エンジンブレーキがより効果を発揮します。 シフトダウンをする事に依りエンジン回転数が上がり、エンジンにより大きな抵抗が発生します(詳しくは後で)。 

しかし、クラスAやデーゼルプッシャー等の大きな車の場合、特にデイーゼルエンジンやオートマチックトランスミッションを搭載している大型RVは単にシフトダウンしただけでは充分な制動力が得られない場合があります。 

1. ガソリンエンジンとデイーゼルエンジン
ガソリンエンジンにはキャブレーターと呼ばれるエンジンに送り込む空気の量を加減する装置があります。 アクセルを深く踏めばバタフライと呼ばれるキャブレーターの中央部にある弁が大きく開いて空気量が増し、空気量に応じたガソリンがエンジンに注ぎ込まれます。 

デイーゼルエンジンの場合は空気量を加減するキャブレーターは無く、エンジンに常に空気が送り込まれ、シリンダー内で空気が圧縮されたタイミングでアクセルの踏み込み加減に応じた燃料(軽油)が噴射されます。

2. ガソリンエンジンとデイーゼルエンジン車のエンジンブレーキ
ガソリンエンジンの場合はアクセルを戻すとキャブレーター内のバタフライ(弁)が閉じ、シリンダー内に送り込まれる空気が微小になります。 従って、空気が入って来ないシリンダー内でピストンが下がろうとしますと、バキュームポンプ同様の原理で大きな不圧(バキューム)になり、ピストンの動きを止める力が発生します。 ピストンの動きを止める力が発生すればエンジンの回転は減少し、その力が車輪の回転を下げる制動力になります。

デイーゼルエンジンの場合は空気の量が一定で、特にターボ付きのデイーゼルは、エンジン回転中は常に大量の空気がシリンダー内に送り込まれます。 従って、アクセルを戻しても燃料の量が減少するだけで空気の量は変わらず、デイーゼルエンジンはガソリン車の様に負圧(バキューム)に成らない為に制動力を作り出す事が出来ません。

3. エンジンブレーキの効率
アクセルを戻しますと多少は減速しますが、下り坂で減速する為には1.での説明の様にシフトダウンをする必要があります。 しかし、オートマチックトランスミッションの場合、トルクコンバーターと呼ばれる流体クラッチが付いており、2000年代以前のトルクコンバーターの場合はロックをしない、即ちスリップを生じて直結状態に出来ないものがあります。 この様なオートマチックトランスミッションを装備しているRVはシフトダウンしてもトルクコンバーターがスリップを起し、減速しないどころかオイルが高温になってトランスミッションのオーバーヒートを起こす可能性があります。

デイーゼルエンジンの場合はエンジンブレーキに余り期待は出来ませんが、シフトダウンをする事でエンジン回転数を上げれば、回転抵抗が大きくなり多少の制動力が生じます。


従って、デイーゼルエンジン搭載RVに取っては排気ブレーキが非常に大切になります。 次回は排気ブレーキに関して書く予定です。