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排気ブレーキの効力

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オートマチックトランスミッション車である為に排気ブレーキが効力を発揮出来ない場合があります。 此れは排気ブレーキを、DPを購入後に取り付けた場合、即ち後付けをした場合に特に多く起こる問題です。

オートマチックが原因で排気ブレーキが効果を発揮出来ない可能性:
1. トルクコンバーターのスリップ
排気ブレーキが完全に機能していてもトルクコンバーターがスリップをしては車は減速をしません。 DPに装備されている殆ど全てがアリソン製のオートマチックトランスミッションで、殆どのDPが4速、5速、そして6速トランスミッションを使用しています。 ここで問題になるのはどのトランスミッションのコンバーターが排気ブレーキを取り付けた場合にスリップを起こすかです(此れに関しては後ほど書きます)。 

参考: DPに使用されているトランスミッション(アリソン製)は運転者がシフトパッド又はシフトレバーを使ってギヤーを“設定”出来ます、即ち、“D”(ドライブ)に“設定”すれば速度が増せば最終的にトップギヤーに“実際”に入ります。 又、反対に高速走行中に2速に“設定”してもエンジン回転数が高過ぎに成る場合は突然“実際”に2速に入る事はありません、即ちエンジン回転数が高くなり過ぎない様に制御されています。 従って、“設定”したギヤーと“実際”のギヤーがその時点の速度によって異なり、実際にどのギヤーに入っているかは標準装備のDPでは分かりません。

参考: エンジンモニター、例えばVMSpcを取り付けますと設定ギヤー並びに実際のギヤーが表示されます。

2. トランスミッションのシフトダウン
既に書きました様に、排気ブレーキをオンにしますと排気管の弁が閉じると同時にトランスミッションはトップギヤー(6速)から2速(又は4速)に設定され、時速90Km程度で走行中でしたら速やかに4速にシフトダウンされます。 その後、車が減速してエンジン回転数が高過ぎる状態に成らない回転数に落ちる毎に更に3速、2速とシフトダウンします。

参考: 排気ブレーキをオンにしますとトランスミッションは4速又は2速に設定されます。 4速に設定されるか2速に設定されるかはトランスミッションのTCM(Transmission Control Module)の設定に依って異なり、何れにもプログラム可能です。 4速に落ちる様にプログラムされている場合は4速に落ちた後はシフトパッド又はシフトレバーを使って手動でシフトダウンをする必要がありますが、排気ブレーキを4速だけで使用する人も少なく無いようです。 

参考: 私のトランスミッションは当初4速に落ちる様にプログラムされていましたが、その後アリソンデーラーで2速に落ちる様にプログラムをして貰いました。 その結果、手動でシフトダウンをする必要は無くなり、時速15Km程度に速度が落ちますと排気ブレーキは自動的に解除します。 しかし、弁は開きますが、排気ブレーキのスイッチがオンなっている間はギヤーは2速(又は4速)に設定されていて、アクセルを踏み込めば排気ブレーキは解除の状態になります。

従って、何らかの理由(故障)で排気ブレーキをオンにしても自動的に4速に設定されない(トップギヤー持続)場合は制動力は期待出来ず、マニュアルで強制的にシフトダウンさせる必要があります。

3. トランスミッションのシフトアップ
排気ブレーキを使用していても、余りにも急勾配過ぎて(例えば下り勾配16度)増速し、エンジン回転数が増す場合があります。 デイーゼルエンジンには最高制限回転数があり、その回転数を超えると自動的にシフトアップされる様に設定されています。 シフトアップされれば当然エンジン回転数は下がりますので排気ブレーキの効果は悪くなり、増速して危険な状態になります。 従ってこの様にシフトアップが起こる可能性がある場合は予めフットブレーキを使用して減速し、一段下のギヤーに落とすと排気ブレーキの威力が発揮出来て増速の心配は無くなります。


参考: 此れまで排気ブレーキに馴染みの無い方を対象に書いていますので、普段排気ブレーキを使用している方達に取っては当たり前の事ばかりだと思います。 又、文字にしますと複雑な様ですが、通常時は排気ブレーキのスイッチをオンにするだけで他はオートマチックトランスミッションが全てやって呉れます。

間違い、疑問点がありましたら承ります。

排気ブレーキの効力に関しての続きは次回書きます。