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カミンズ デイーゼルエンジン  その4 トランスファーポンプ (リフトポンプ)

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トランスファーポンプの機能が低下をしたり停止をしますと充分な燃料がVP44に行かなく成り、VP44は故障を起こします。 故障は燃料の潤滑作用や冷却作用の低下に因るオーバーヒートの為に焼き付きを起こしたり上部に取り付けてあるコンピューターが障害を起こしたり、又、無理をしてタンクから燃料を吸い出す為にBP44のポンプ機能が駄目に成ったりする為の様です。    

走行中にトランスファーポンプの機能が低下又は停止した場合は馬力低下、エンジンがシャックリ状態、ECMが燃料不足を察知してエンジン回転数が上がらない(デイレート)等の状態が起こる様ですが、VP44が噴射不能になるまで走り続ける場合もある様です。 

正常だったエンジンが始動し難くなった場合はトランスファーポンプが機能していない事が考えられますので、高価なVP44を保護する為にはトランスファーポンプを確認、悪ければ直ぐに交換が必要です。

VP44とトランスファーポンプに関する事柄はネットに多数出ています。 RVフォーラムにも多数書き込みがされており、交換部品も多数宣伝されています。 これは当然、故障が頻繁に起って居る事を意味します。 

トランスファーポンプの種類:
社外品も多数販売されています。 温度上昇を避ける為と思われますが、タンク内に取り付けるポンプもあります。 例えば、カミンズ製エンジンを搭載したダッジピックアップトラックの場合、修理サービスは全てダッジ(クライスラー社)が行っていて(カミンズ社に関係無し)、2002年以後のピックアップトラックにはトランスファーポンプを燃料タンク内に変更しました。 その為、従来のエンジンに取り付けるトランスファーポンプは販売停止になり、2002年以前のトランスファーポンプが故障を起こした場合もダッジデイーラーではタンク内式ポンプを取り付ける為に$1000掛かるそうです(参考: カミンズ純正トランスファーポンプは$200弱)。  尚、このポンプも故障を起こす事があり、交換の際は燃料タンクを下ろす必要があって不評です。 

従来のポンプより圧力が高い物や機能が停止してもVP44に負担が掛からない様に少ない抵抗で燃料が流れる事を宣伝しているトランスファーポンプもあります。

人に依ってはトランスファーポンプを並列に2個取り付ける事を勧める人も居ますが、余り燃料の圧力が高くなるとVP44の故障に繋がると言う人も居ます。 

ISB/ISCの燃料システム問題対処方法:
カミンズエンジンは燃費が良く評判が良いのですが、ISB/ISCエンジンのインジェクションポンプとトランスファーポンプには十分な注意を払う必要があります。 

プレッシャーゲージ又は警告ライトの取り付け:
基本的に、トランスファーポンプが正常に機能していればVP44は問題を起こさない様です。 しかし、トランスファーポンプ自体も故障を起こし易いので、故障を速やかに察知する事に尽きると思います。 前回のイラストの#2フィルターの出口に圧力センサーを取り付け、ゲージ又は警告ライトで確認し、異常が発覚した場合は速やかにスペアーに交換をする事だと思います。

ゲージには油圧配管で繋ぐメカニカルゲージ(安価)と、電気の線でセンサーと繋ぐエレクトロニックゲージがありますが、DP(デイーゼルプッシャー)の場合はエンジンが後方にある為に油圧配管は長過ぎて、エレクトロニックゲージが必要となります。 

この問題に対処する為のゲージや警告ライト並びにセンサーは種々出回っていて、ゲージの場合は30PSIが適切ですが、警告ライト用のセンサーは3PSIもあれば5PSIもある様です。

その他の対処法:
トランスファーポンプは電動式で、エンジン回転中は常に作動しています。 従って、状況次第では寿命も短くなります。 燃料フィルターはエンジンマニュアルに従っての交換が大切で、給油後に急に燃料圧力が下がった様な場合は汚れた軽油の為のフィルターの目詰まりも考えられます。 

何れにしてもトランスファーポンプのスペアーと燃料フィルターのスペアーを用意して於く事をお勧めします。

参考1:
燃料はよく売れているサービスステーションを利用し、人が余り利用しない様なサービスステーションは避ける方が良いと言われています。
昔、田舎町でガソリンを給油中にタンクが空になって出なくなった事があります。 店員が無理をして入れ続けようとした事も影響したと思いますが、そのサービスステーションを出た後しばらくしてエンジンの調子が悪くなり、キャブレーターに付いている小さな燃料フィルターを交換して何とか走れる状態にして帰って来た事があります。
又、タンクローリーがサービスステーションで給油作業中はタンクの底に沈んでいるゴミがカクハンされる為に避けた方が良いと聞いた事がありますが、現在はこの様な事は無いかも? 

参考2:
高速で走行直後は温度を下げてからエンジンを停止する事は大切だと思います。 カミンズに依りますと、高速走行後は3-5分間のアイドル後に停止、一般道走行後はその必要は無いとあります。
Prior to shutdown, an engine should be idled 3-5 minutes after extended full throttle or high power operation. However, under normal driving conditions, such as exiting a highway, engine operation is generally lighter in nature and thereby, the 3-5 minute cooldown is not necessary.

参考3:
カミンズ社は過度のアイドリングを禁止しています。 之は日本のバス等が行っているエコの理由では無く、エンジン保護の理由です。 即ちデイーゼルエンジンはアイドル状態では温度が下がり、回転を続けるとオイルを劣化させて磨耗が進むとの事です。


此れで一応カミンズの燃料システムに関しては終わりますが、要望がありましたらゲージの取り付け方法に関して説明します。 次回はカミンズエンジンで知って於きたい事を書く予定です。