キャンピングカーとブレーキシステム
 キャンピングカーは車重が無架装時と比べると重く、さたに荷物や水を積むためブレーキにも負担がかかります。
 JAFの制動距離テストにおいても重い車は必然的に制動距離が伸びるテスト結果がでています。
 特に、長い上り坂でブレーキを多用することで、ブレーキシステムは高温になります。この結果、パッドが焼けたり、ブレーキオイルにエアーが発生したり、ダストブーツが熱により劣化したりと悪影響ばかりです。
 また、高温に焼けたブレーキキャリパーやブレーキローターなどは錆が発生しやすくなります。この錆の発生もブレーキシステムへ悪影響を与えます。
 ブレーキシステムはオーナーの運転の”癖”でも早期に劣化します。
 このページは熱によりダストカバーがボロボロに破れ水が浸入し、ブレーキピストンの動きが悪くなったクラスCのブレーキのオーバーホールについての解説です。
キャリパーオーバーホール
 
 パッドは茶褐色になりパッドは炭化している。裏の金具も一面茶褐色である。  キャリパーも一面茶褐色で、ダストカバーはボロボロに破れている。この状態では、水がキャリパーに侵入し、ブレーキシステムに悪影響を及ぼす。  ハブのグリースも熱により溶け出した形跡があるため、ローターも分解しベアリングにグリスアップを行う。
 セパレーターを使ってもかなりの力を入れないとピストンが動かない。  キャリパーを分解し、キャリパーの錆を完全に落とすため、ブラストをかける。
 ブラストをかけたあとのキャリパー。茶褐色の錆は全て取り除いた状態。また、シリンダーにホーニングを施し、錆などを完全に除去する。
パッドを組み込む  ベアリンググリスを圧入したところ。  ピストンシール、ピストン、ダストカバーを塗り組み込む。
 ローターとキャリパーを組み込む。
ブレーキシステムの簡易的な点検方法
 タイヤを外し、1人にブレーキを踏んでもらいます。ブレーキを放してすぐにスタッドボルトを片手で回してみます。これがある程度の重さで連続して回すことができればピストンはOKです。
 また、かなり重かったり、回すことができなければピストンが固着している状態や、キャリパーが正常に動いていない状態が考えられます。
 タイヤを外したと同時に出すとブーツなどの損傷がないかどうかも確認しましょう。
 特にアメリカ製クラスC、クラスAは本ページのように焼けたものが存在します。日頃の点検をしっかり行うことが大切です。

※車検に出したから・・・といってこのような作業を行ってくれていることはないと考えてよいと思います。通常はパッドの残厚確認、良くてハブベアリングのグリスアップと考えておいた方が無難。
 また、”車検代安くあげて”と頼んで格安で車検を行った場合も同様にパッドの残厚さえ確認していないこともあります。
 車検は、ユーザー車検の場合は自己責任の上で、業者に出す場合は信頼のおける工場にだしましょう。
ブレーキを劣化させないブレーキングは
 長い下り坂ではエンジンブレーキを併用し、速度にあわせて適切なレンジにシフトダウンをします。
 それでもスピードが出てしまう場合は、ブレーキをずっと踏み続けるのではなくイン
ターバルブレーキングを行うことで風により冷却することができます。(例:5秒少し強めに踏んでスピードを落とし、2秒ブレーキペダルを放す)
作業時間 作業難易度(5段階) 作業のポイント 実用度(5段階)
12時間程度
ブラストの時間も含む
 キャリパー内にごみ、水分などが入らないように注意しましょう。また、ピストンを組み込むときは真っ直ぐに入れましょう。
 キャリパーを組み込んだ後は必ずエアー抜きを行いましょう。
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