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“異なるバッテリーの並列接続はOK”

前回、“年齢、サイズ、電圧、化学的性質、容量、形状、製造メーカーを混ぜる事は不可”と言われて居ることを書きましたが、今回は私が信頼する専門家の意見である  “異なるバッテリーの並列接続はOK” に関して書きます。

先ず最初に、“年齢、サイズ、電圧、化学的性質、容量、形状、製造メーカーを混ぜる事は不可” とのステートメントは明らかに誤りです。

“異なるバッテリーを混ぜると何れかのバッテリーバッテリーがオーバーロードの状態に陥り、故障の原因になったり危険な状態になる” に関しても完全に間違えで、オーバーロードになる唯一の原因はバッテリーから過度の電流を取り出そうとした時に起きます。 そして過度の電流を取り出す唯一の原因はバッテリーに負荷を掛けて電圧を極端に下げる状態にする事です。 しかし、バッテリーは並列に接続されて居ますので特定のバッテリー1個の電圧を下げる事は出来ず接続している全てのバッテリーの電圧が下り、全てがオーバーロードの状態に陥ります。

古くなって容量が減ったバッテリーや小型(容量の小さい)のバッテリーを大きな容量のバッテリーと並列接続した場合は(自然現象で)幸運にも小さな容量のバッテリーの方が内部抵抗が大きく、容量(サイズ)に応じて負荷を分配する制御機能の役をします。

エキスパートでもよく勘違いをするのは、大小のバッテリーを並列に接続した場合に両バッテリーに同量の負荷が掛かると仮定して仕舞う事で、此れは誤りです。 例えば異なるサイズの2個のバッテリーを並列に接続し100アンペアーの負荷を掛けた場合に両方に50アンペアーの負荷が掛かる事はありません。 それぞれのバッテリーには内部抵抗があり、負荷が下ると電圧も下り、オームの法則に従って電流の流れが制御されます。

電流はバッテリーの内部電圧と外部電圧の差で生じ、此れは両方のバッテリーに同じです。従って、流れる電流はこの同じ電圧を各々の内部抵抗で割ったものとなります。 小さなバッテリーの抵抗は大きなバッテリーより高い為に小さいバッテリーはより少ない電流を供給する事になります。

自動車用バッテリーとデイープサイクルバッテリー(Gel、AGM、ゴルフカート用、船舶用等)を並列に接続する事に関してですが、それぞれのバッテリーにはそれぞれに適した異なる充電方法があり、高度の充電器は効率的(早く)充電を行う為に初期段階でより高い電圧を加えます。 この様な場合は最も敏感な影響を受け易いバッテリーの充電方法に設定すれば問題は起きません。 此れは充電時間が多少余分に掛かる事にはなりますが最終的には全てのバッテリーが充電されます。

自動車用バッテリーとデイープサイクルバッテリーを並列に接続する事の弱点は自動車用バッテリーをデイープサイクルバッテリーと同様の使い方をして仕舞う事です。 自動車バッテリーは放電(使用)し続けて電圧を下げる目的には作られていませんので電気容量が順次小さくなって早く寿命に達し、その結果デイープサイクルバッテリーがエンジンをスタートさせる役割を果たさなくてはならなくなります。 しかし、デイープサイクルバッテリーは瞬発力に欠けています。

この説明で、少なくとも、サイズの異なるバッテリーを並列に接続する事は問題無い事が理解出来ましたが、如何でしょう?

自動車用バッテリーとデイープサイクルバッテリーの混合は避けるべきです。