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“オートパーク”の故障  その4.  “イデイオットライト”の点灯

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“オートパーク”の故障は“RGS”に関連したものがダントツですが、他にも幾つかの故障があります。  今回は“イディオット ライト”の点灯、即ちダッシュボードに装備された警告灯に関して説明します。

“イディオット ライト (Idiot Light)”の意味:
ダッシュボードに装備されている警告灯(ウオーニングライト)の事を英語では“イディオット ライト”とも呼びます。 “イデイオット”とは馬鹿、マヌケ等の意味で、例えば油圧警告灯や充電警告灯は単に点灯するだけで、量(十分な情報)は提供して呉れない為にこの名で呼ばれます。 

タイプ2又はタイプ3の“オートパーク”が装備されている(16,000ポンド以上)1994年-2007年のGM/シボレー/ワークホース製モーターホームのダッシュボードにもこの “イディオット ライト”が付いています。 

“オートパーク”の “イディオット ライト”の機能:
“イディオット ライト”を点灯させるスイッチは2個あります。
スイッチ1はアクチュエーターの後ろに付いていて、油圧が500 psi以下に下がりますとこのスイッチが“オートパーク”の “イディオット ライト”を点灯させます、即ち油圧がゼロ‐500 psiで点灯します。 このスイッチは機能をしていてもいなくても走行には影響しませんが、若しショートを起こしてフューズが切れますと“オートパーク”が作動して、走行中でしたら急ブレーキが掛かって仕舞います(稀の様です)。
スイッチ2(“RGS”)はポンプに付いていて、1200 psi以下になりますとポンプを作動させて、同時に“オートパーク”の “イディオット ライト”を点灯させます。

“オートパーク”の “イディオット ライト”の意味:
従って、スイッチ1は油圧が500 psi以下(異常)に下がりますと“イディオット ライト”を点灯させ、そしてスイッチ2(RGS)が1200 psi以下(正常)に下がりますと(油圧ポンプを作動させると同時に) “イディオット ライト”を点灯させますので、“オートパーク”の “イディオット ライト”は“オートパーク”が正常に機能している時も油圧が下がって異常を起こした時も点灯します。
更に、スイッチ1が典型的な故障を起こした場合、スイッチ2(RGS)の如何に拘わらず“イディオット ライト”は点灯し続け、スイッチ2(RGS)が典型的な故障を起こした場合も、スイッチ1の如何に拘わらず“イディオット ライト”は点灯し続けます。

注意:
“RGS”と全く同じ形状で色が異なるプレッシャースイッチが3種類あります。 それぞれのGMの部品番号は次の通りです。
スイッチ1(RGS):  GM15961566緑 又はGM15034355 茶
スイッチ2:  GM10218778 グレー

既にご存知の通り、プレッシャースイッチは異なる油圧で作動しますので同じ機能をするスイッチと交換をする必要があります。 即ち、ポンプには緑色、又は茶色のスイッチを使用、アクチュエーターにはグレー色を使用する必要があります。

“オートパーク”の “イディオット ライト”の問題の解決法:
と言う訳で、“オートパーク”の “イディオット ライト”が点灯した場合は果たして正常か、其れとも異常かは分かりませんし、それぞれの回路を調べて、何れのスイッチが“イディオット ライト”を点灯させているかを特定しなければなりません。  

ロジャー(Oldusedbear)に依りますと、約$20(2500円)程度の部品代で3個のマジックライトシステムに改造すれば、“オートパーク”が正常に機能しているか異常かが判断出来る様になり、この作業はDIYにはそれほど難しくは無いそうです。  次のサイトに詳しく説明がされています。
http://www.rvautopark.com/wp-content/uploads/2013/09/THE-IMPROVED-3-LIGHT-GENIE-LAMP-ACCESSORY_rev1.pdf

“オートパーク”の故障  その3.  “RGS”、並びにタイプ2/タイプ3の構造

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今回も“Oldusedbear”の説明を主な情報源として書きます。
http://www.wolfswords.com/motorhome/auto_parking_brake/PUMP%20MOTOR%20SWITCH..RGS...replacement.pdf

“RGS”の意味:
“RGS=Rotten Green Switch” (写真上左)とは“厄介な緑色をしたスイッチ”と言う事で、“オートパーク”の多くの故障はこの“RGS”が起因しています。

タイプ2/タイプ3の構造(写真上右):
先ずは、“RGS”が故障原因となる理由を理解する為に、“オートパーク”のタイプ2、タイプ3に構造を簡単に説明します。
タイプ2とタイプ3には基本的に“オートパーク”専用のポンプ、アクチュエーター(シリンダー)、リザボー(オイルタンク)、そして“RGS”が存在していて、此の“RGS”が油圧を一定の範囲に維持します。 

普段、トランスミッションのシフトレバーが“P”(駐車)の状態ではアクチュエーター内の油圧は低くてスプリングの強い力がケーブルを引っ張ってパーキングブレーキが作動した状態ですが、シフトレバーを“P”以外に移動しますと、ポンプが作動してアクチュエーター内の油圧がスプリングを圧縮してパーキングブレーキが解除の状態になります(写真中左)。  この際、油圧が1200 psi以下の場合はポンプが作動し、1600 psiに達しますと電源が切れてポンプは停止します。

“RGS”の構造:
“RGS”の内部には意外と多数のデイスク状の部品が入って居り、次のサイトに写真と共に理解し易く説明されています。
http://www.oemys-performance.com/j71autopark.htm#apversion

“RGS”の故障の過程:
“RGS”に掛かる圧力は1600 psi、家庭の水道の蛇口付近の約20倍の高圧の為、スイッチ内部でオイル漏れが発生しますと電気的な誤作動が始まり、その後オイルは徐々に外部に漏れ出し、更に状態が悪化しますとタンク内のオイルは無くなり、アクチュエーター内に十分な油圧が伝わらなくなればパーキングブレーキは解除出来ない状態になります。  走行中にパーキングブレーキが引きずりを起こす場合も在れば、パーキングブレーキが急に作動してしまう場合もあり、この様な状態ではダッシュボードの警告灯が点灯したり、点滅をする状態の筈です。

“RGS”の付近にオイル漏れ(写真中右)が確認されれば早目に“RGS”の交換をする必要があります。

“RGS”交換部品:
GM製のオリジナル部品は現在も販売されており、ACDelcoの部品番号は15961566で、アメリカに於いては$40-$60で販売されている様です(正価は$100前後?)。

“RGS”交換の際の注意:
“RGS”が取り付けられているアルミ製のアダプター(写真下左)は柔らかい材質の為簡単にねじ山が壊れる為、“RGS”をねじ込む際は2本のレンチを使用し、1本のレンチでアダプターが回らない様に押さ、更に“RGS”が必要以上に強くねじ込まない様に注意する必要があります。

ロジャー(“Oldusedbear”)はアルミ材の代わりにスチール材を使ってこのアダプターを製造していましたが、1個のアダプターを製造に2時間掛かる為、製造を中止したそうです。