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燃料ポンプ問題への対処  -  燃料プレッシャーゲージのお勧め

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最近、カミンズエンジンとフォードの燃料ポンプの問題に関して書きましたが、何れの場合も燃料ポンプの耐久性に問題があり、機能が徐々に低下し、その結果エンジンの不調に繋がります。 従って、燃料ポンプの異常を予め察知出来れば、余裕を持って対処する事が出来ます。

その良い方法が有ります、燃料プレッシャーゲージの取り付けです。
ゲージの追加は、スピード凶の若者がやる様にも感じられますが、順調にRVが機能している事を確認、又は異常が出始めているのを察知する為には欠かせません。 飛行機の操縦席には色々なゲージ類が並んでいますが、理由は全く同じです。

• カミンズエンジンの燃料プレッシャー
以前、トランスファーポンプ(リフトポンプ)が機能しなくなると高価なインジェクションポンプ(PV44)の故障の原因になる事、そしてトラスファーポンプが正常に機能する事は大切である事を書きましたが、燃料プレッシャーゲージを取り付ける事でトランスファーポンプの健康状態が一目瞭然になり、PV44の故障の原因を回避する事が出来ます。 

カミンズのマニュアルには燃料フィルターは、オイルフィルター交換時に一緒に交換する様にと記されています。 オイルフィルターも大切ですが、燃料フィルターはそれ以上に大切だと私は思っています。 
燃料フィルターを交換した事がある方は既にご存知だと思いますが、フィルター交換後は燃料システムにエアーが入って、そのままではエンジンは絶対に掛かりません。 燃料プレッシャーゲージはこの際にも役立ちます。 燃料プレッシャーは通常10PSI-15PSIですので、最大30PSIが表示出来るゲージが適切です。

• フォード F53用 燃料プレッシャー
前回書きましたフォードの問題燃料ポンプは使用しているうちに徐々に悪化します。 燃料ポンプが正常に機能している場合はエンジン不調は起こりませんが、20PSI程度に下がるとベーパーロックが起こり易い状態に成るようです。 RVフォーラムで燃料ポンプの不調やエンジン不調の為にプレッシャーテストゲージでポンプの機能を調べていますが、F53 やE350 に燃料プレッシャーゲージを取り付ける書き込みは見た事がありません。 利用出来るプレーシャーゲージは色々販売されていますので、取り付けると燃料システムの健康状態判断が非常に解り易くなります。 燃料プレッシャーは通常45PSIの様ですので、最大80-100PSIが表示出来るゲージが適切だと思います。


参考:
長い急坂を登る場合、水温やオイルの温度は115度前後までは問題無い様ですが、しかし実際にはシリンダー内の温度が問題で、排気ガス温度(EGT=Exhaust Gas Temperature)を読む事で分かります。 無理をすれば、水温が100度以下でもシリンダー内が危険温度の560度以上に達する事は有り得ます。

EGTゲージ又はパイロミター(Pyrometer)とも呼ばれますが、現在のRV購入早々取り付けました。 シリンダー内の正確な温度を知る為にはターボ前(Before Turbo)に取り付けたかったのですが、サーモカップルを取り付ける為の穴を開ける際の切り粕がターボを傷める事を懸念してAfter Turbo用ゲージを取り付けました(保証期間中であった為に分解避けて)。 少々低めの温度を読む事にはなりますが、危険温度は分かって居ますので、それでも十分有効でした。 その後、ヘッドガスケット交換をした際にBefore Turbo用ゲージも取り付けましたが、暑い場所での長い急坂を登る際にはゲージが欠かせません。

燃料ポンプ問題 - フォード製 E350(クラスC)、 F53(クラスA) その2 問題対処

A. フォード製のRVにお乗りの方は早急に燃料ポンプの問題に関して対処する必要があります。
RVを所有していますとアチコチにマイペースで行けますし、RVが調子が良く走って呉れれば最高ですが、故障、特にエンジンが掛からなく成った時は不安でRVの楽しさは吹っ飛んで仕舞います。 例え自分で修理が出来る自信がある人でも、突然エンジンが掛からなく成った時は、不安に陥ると思います。 故障は最悪の場所で最悪の時に起こります(マーフィーの法則)。  
• 町から離れた山中の細い道で
• 交通渋滞で身動きが取れない時
• 目的地まで早くたどり着きたい時
• 運転し続けて疲れている時
• 部品入手が困難な時
その他、悪い状況でトラブルは発生します。 従って、普段からトラブルが発生しない様に対処する事は非常に大切です。  

該当するフォード製RVに乗っている方は燃料ポンプ不具合対処の重大性を感じて下さったでしょうか?

B. 日本で走っているフォード製クラスAやクラスCの大半が燃料ポンプ問題該当車です。
アメリカでも8フィート(2.44メートル)の車幅のRVが製造されていましたが、1990年前後に最大8.5フィート(2.59メートル)のワイドボデイーと呼ばれるRVが製造され始め、2000年前半には殆どのクラスAがワイドボデイーに成りました。
しかし日本では、オーストラリアやヨーロッパの一部の国と同様に、2.5メートルの車幅制限がある為に、現在日本国内で走っているアメリカ製クラスAやクラスCの大部分は2000年以前に製造されたものと思われます。
同時に、今回取り上げている燃料ポンプの問題を抱えているフォード車は1989年から1997年型車ですので、該当車の確立は非常に高い事になります。

C. ご安心下さい、該当しない可能性も大いにあります。 
フォード車の燃料ポンプ問題で検索しますと多数引っ掛かって来ますが、書かれた記事の多くは2000年前半で、最近の書き込みは全くと言って良い位有りません。 即ち、現在はこの問題は起こって居ない事になります。 此れは、1997年に改良型のターバイン式燃料ポンプが搭載されてからは問題が起こっていない事を意味しています。 又、RVフォーラム等の書き込みに依りますと、早い人は1万5千マイル程度で燃料ポンプの不具合を経験、2万5千マイルで必ず不具合が起こると断言している人が居れば、5万マイル迄に不具合を経験すると断言している人もいます。 従って、該当燃料ポンプは既に不具合を起こして、全ての該当車は不具合が起こらない何らかの処置が取られたとも解釈出来ます。

D. 安心してRVを楽しめる為に
RVフォーラムを読んでいますと、“クレジットカードと携帯があれば何の心配も要らない”と言う人もいますが、恐らく冗談で言っているのでしょう。 
旅先での故障を完全に無くす事は不可能ですが、起こらない様に普段から出来るだけ対処をし、又起こった場合の対処(スペアー部品、道具等)もして置く必要があると思います。

若し、フォード製該当車にお乗りの方がいらっしゃいましたら、ご自分で対処を為さった方は別として、燃料ポンプが既に交換されているか、又は、適切な対応がされているかの確認が非常に大切だと思います。

燃料ポンプ問題 - フォード製 E350(クラスC)、 F53(クラスA)

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このところカミンズエンジンの燃料ポンプ(リフトポンプ)に関して書きましたが、燃料ポンプの問題と言えばフォードがよく話題に上がります。  高速道路を走行中に急にエンジンが止まったと言う問題がRVフォ-ラム等に多数登場します。

フォード製RVにお乗りの方は既にご存知かも知れませんが、ご存知で無い方は知っていると役立つかも知れません。

A. エンジントラブルが起こる状況
この問題は夏の暑い日に急坂を登坂中や、中でも多いのは高速道路を調子良く走行中に急にエンジン停止が起る事です。

B. 該当車種/装備
クラスCやクラスAで、次の様な車種や装備のフォード車です。
• 1989 - 1997年型
• E-350、F53 シャシー
• 7.5 リッター V8、 6.8リッター V10 エンジン
• 燃料ポンプがタンク内

C. 起こる原因
燃料ポンプのオーバーヒートとベーパーロックに因るものです。

D. 解決法
直ぐにはエンジンは始動しませんので、ガスタンクのキャップを外し、暫く待ちます。  通常、20分程度待ちますと始動する様ですが、諦めていた人が数時間後に始動出来た場合もあります。  始動した場合は先ずガソリンスタンドに直行する事で、燃料タンクを満タンにする事で通常通りの走行が可能になります。 

この問題を抱えているRVerの中には“燃料がタンクを半分以下にしない”、“朝の涼しい間に走る”等を心掛けている人がいますが、当然この様な解決法は、現実的ではありませんし、この問題を完全に解決するには故障を起こさないタイプの燃料ポンプに交換する事が必要です。 

又、燃料ラインが排気管の近くや熱せられそうな場所にある場合は、リターンラインを含め、熱遮断材を巻くなりして燃料が熱せられるのを防ぐ事も効果的な様です。


参考:
上に書いた問題はエンジンが掛からなくなった場合の極く限られた原因ですが、頻繁に起っています。夏の砂漠地帯(例えばアリゾナ州)のキャンプ場には上に書いた様な経験をしたRVerは少なく無い様で、それぞれ経験話が在る様です。

エンジン停止の原因には当然ながら色々あります。 タンク内ポンプの場合はイグニッションキーをオンにすると(タンクの近くで)ポンプの音が聞こえますが、聞こえない場合は燃料ポンプの故障と考えて良さそうです。 しかし、燃料ポンプのフューズが切れていたり、リレーが壊れていたり、断線もあり得ます。 

タンク内式燃料ポンプはギヤータイプでしたが、1997年6月以降からはターバインタイプのポンプに改善され、この問題は無くなった様です。 従って、この問題を解決するには新しいターバインタイプのポンプに交換する事が必要で、現在使用している年式と同じポンプに交換すれば同じ問題を抱える事になり兼ねません。
http://www.net-camper.com/cgi-bin/rv-ken/diarypro/diary.cgi?no=566

燃料タンク内のポンプが壊れた場合に、タンクを下ろす事を避ける為に、タンク内ポンプを残したまま新しいポンプを取り付けて満足している人が沢山居ますが、燃料の流れが悪くなるとの事で反対をする人も居ます。 タンク内ポンプが正常に機能している間に、タンク外に別のポンプを取り付ける事は有効で、タンク内ポンプの問題が起こる事を防ぐ事が出来る様です。  クラスAにはこの様に二個目の燃料ポンプがシャシーに取り付けられている物が少なく無い様です。

燃料フィルターが目詰まりを起こした場合もポンプにより強い負荷を掛け、オーバーヒートの要因になりなりますので、燃料フィルターの交換も大切です。


注意:
RVの場合、例え、1998年型でも、シャシーは1997以前に製造された可能性は大いにあります。 即ち、エンジンやシャシー部品を探す場合の年式が、RVの年式以前の場合がよくあります。 理由は以前書い事がありますが、RV製造会社がシャシーを纏め買いする為です。

カミンズエンジン ISB(ISC)  その2 サーペンタインベルトの交換

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サーペンタインのベルトの交換は、Vベルト交換に比べて大変な様ですが、DPのISB(ISC)はコツさえ知っていれば非常に簡単です。 最初に幾つかの要点を説明して、其の後に取り外し順序と取り付け順序を説明します。

知って於くと有利な事柄
• DP(デイーゼルプッシャー)に搭載されたISB(ISC)エンジンには2本のベルトが装着されており、1本はサーペンタインベルト、もう1本はAC(エアコン)コンプレッサー用のVベルトです。 AC用ベルトはサーペンタインベルトの外側に取り付けてあります、即ちサーペンタインベルトはエンジンとAC用ベルトの間に挟まれていますので、サーペンタインベルトを取り外すにはAC用ベルトを先に外さなくてはなりません。 

注意: ベルトを取り付ける際に、AC用ベルトを先に取り付けますと内側に入るべきサーペンタインベルトを取り付ける事が出来ず、一度取り付けたACベルトを外す事になります。

• AC用ベルトはエンジンファンの内側にありますので、取り出すにはエンジンファンを越えて外に出す必要があります。 ベルトの一箇所を持ち、ファンブレードを一枚づつ超えて全てのファンブレードを越せば外に取り出す事が出来ます。 しかし、AC用ベルト(組み立てミス)が短い為にファンブレードを越す事が出来ないエンジンが稀にある様で、この場合はファンを外す必要があります。 この問題の解決法は後日説明します。

• ファンブレードが固定された状態でAC用ベルトを外側に出すには、ベルトをファンの上部から時計回り(半時計回り)に順次手を伸ばして超えさせて行かなければなりませんが、これは非常に大変です。 しかし、サーペンタインテンショナーを緩めてサーペンタインベルトをテンショナーから外しますとファンは自由に回転し、ACベルトは簡単にファンブレードを越す事が出来て1分も掛からないで取り出す事が出来ます。

• サーペンタインベルトは非常に単純にプーリー掛かっています、即ち、ファンプーリーの内側に入れた状態からテンショナーに掛けるだけです。 複雑に考える必要は全くありません。

• 道具はAC用コンプレッサーのナット/ボルトを緩める為のレンチ2本(17mm?)が2本と3/8インチのラチェットが必要です。 ラチェットはテンショナーに付いている3/8の角穴に差し込んで回す為に使いますが、テンショナーのスプリングは非常に強い為に、ラチェットのハンドルに差し込んでハンドルを長くする為のパイプも必要です。 パイプの長さは40cm-50cmが良いと思います。

以上の事を知っていますと、サーペンタインベルトだけの取り外しは1-2分程度、取り付けは5分程度で出来ると思います。  後は、AC用ベルトを緩める為にACコンプレッサーのナット/ボルトを緩める、又は締め付ける為に少々時間が掛かるかも知れません。  

A. サーペンタインベルトの取り外しステップ
サーペンタインベルトの取り外しは至って簡単で、上のスケッチに示された取り付けステップの逆です。

1. ACコンプレッサーのボルト/ナットを緩め、 Vベルトを緩めてプーリーから外す
2. 3/8 ラチェットとハンドルを長くする為のパイプを使ってテンショナーを時計方向に回し、サーペンタインベルトをテンショナープーリーから外す
注意:  テンショナーのスプリングは非常に強いので、ラチェットが外れたり、手を滑らせない様に注意が必要
3. ファンブレードを少量づつ回転させながらAC用ベルトをファンブレードを一枚づつ超えさせて、ファンの外に移動させ、取り外す(写真 下左)
4. AC用ベルトと同様の要領で、サーペンタインベルトをファン外に移動させて取り出す

B. サーペンタインベルトの取り付けステップ
取り付けは、上のイラストの順に行えば簡単に出来る
1. サーペンタインベルトをエンジンの上部よりファンの内側に入れ、エンジン(シャーシー)の下からベルトの下部をクランクシャフトプーリーの真下に押し込む
2. サーペンタインベルトをウオーターポンププーリーの内側に移動させる
3. サーペンタインベルトをウオーターポンプの上からオールタネーター方向に引っ張り出す
4. ファンが自由に回転出来る状態の内に、AC用ベルトをファンの内側に入れる
5. ラチェットとパイプを使ってテンショナーを時計方向(イラスト)に回転し、引っ張り出した部分をオールタネータープーリーに引っ掛ける
6. AC用ベルトをプーリーに掛け、てこ(頑強なドライバー等)を使ってVベルトを適度のテンションにし、ボルト/ナットを締め付ける

実際には文章に書かれているより簡単です。

カミンズエンジン ISB(ISC)  その1 サーペンタインベルトに関して

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トランスファーポンプに関して未だ幾つか書く事がありますが、それらは後にして2-3回に分けてサーペンタインベルトに関して書きます。 

シャシー製造会社にはシャシー番号別に個々のシャシーに使用されている部品の殆どが記録されていて、問い合わせると教えて呉れます。 今回、シャシー会社から教えて貰った部品番号を元にサーペンタインベルトを注文しましたが、現在持っているスペアー並びに過去に交換した古いベルトに比べて相当長い事に気が付きました。 異なる長さに関してネットで調べた結果、意外な事柄を知りました。 此れまでにサーペンタインベルトを交換した事が無い人は特に知っておく必要があると思います。

• 種類が豊富で正しいサイズを見付けるのが難しい
今回書くのはモーターホームに取り付けてあるカミンズのエンジン用サーペンタインベルトですが、ISB(ISC)エンジンは多数の目的や車に使用されていて、それぞれサーペンタインベルトの長さが異なります。 例えば、ダッジピックアップトラックのISBに取り付けられているサーペンタインベルトはRV用とは異なります; 駆動するコンポーネントが異なるからです。
RVフォーラムで、シャシー会社から知らされた部品番号のサーペンタインベルトは間違いである事を経験している人が少なく無い事を知りました。 サーペンタインベルトの長さはコンポーネントの種類の他に、エンジンを製造した時期に依っても異なる様です。 

DPシャシーメーカーからの部品番号に依りますと、60.5インチと68.5インチの2種類の長さがあります(他の長さがある可能性も)が、RVフォーラムの書き込みに依りますと、初期のISBの場合は68.5インチは長過ぎで、57インチ程度で無いと緩過ぎになるとあります(私の場合は60.5インチが最適)。 

ISB(ISC)エンジンにはサーペンタインベルトの張り具合はテンショナーで自動的に調整されます。 しかし、長過ぎますとテンショナーの調整外になり、緩くなります(後ほど、サーペンタインベルトの交換方法を書く際にテンショナーに関して説明します)。 長過ぎの見分けはテンショナーの角度で分かります。

従って最適なサーペンタインベルトの長さを知るには、現在使用中のベルトの長さが適しているかを確認し、そのベルトを外して長さを測定して記録をして於けば絶対に確実です。 若し、旅行中に切れて急に購入する事態になれば、正確なサイズを知る事は困難で、唯一の解決方法は豊富なベルトを在庫している修理店に行って取り付けを繰り返す事になるでしょう。 即ち、部品店に行ってベルトサイズを言って購入するのは難しい事になります。

• 交換方法を知って於く必要がある
RVフォーラムにはサーペンタインベルトがプーリーに掛かる正しい順(パターン)を聞いている人が多数居ます。 又、DP、特にリヤーラジエーターの場合はベルトやプーリーはエンジンとラジエーター(ファン)に挟まれていて、殆ど見えませんし、手も入りませんので手探りも困難な状況です。 始めてDPのサーペンタインベルトを交換する場合は2-3時間で出来れば上出来だと思います。 一度経験して、重要なコツを知っていれば30分掛からないで出来ます(ACベルト交換を含め)。

• 使用中のサーペンタインベルトの状態を知る大切さ
今回、ベルトの長さを確認する為に現在使用中のベルトを外したところ、上の写真でお分かり頂けると思いますが、8溝の内の片側1溝(一部2溝)がムシラレル(毟られる?)様に失っていました。 
之までにサーペンタインベルトを少なくとも3回交換しており、一本は走行中に完全に切れて無くなりましたが、2本は残してあります。 この中の1本は同じ様に片側がムシラレていますがもう1本は全体的に磨耗はしていますが、ムシラレた形跡はありません。
ムシラレタ理由はプーリーのミスアライメントと考えて、新しいベルトに交換した場合は一気にむしられて既にムシラレテいるベルトを使用した方が返って安全とも考え、ベルトの側面をきれいに削って再使用する事を考えましたが、旅行中での交換を少しでも避ける為に新品のスペアーの一溝を削り取って使用する事も考えました。

その後、更にベルトのムシラレタ面や前面と裏面を調べてみましたら、小石やガラスの様に光る物体が多数埋まっている事に気が付き、ベルト表面に小穴も幾つかあって、中には前面から裏面(平らな面)迄貫通している穴もありました。 若しミスアライメントが原因の場合は、ムシレ状態は2000Km程度で起こると思われますが、使用済みの一本のベルトは磨耗こそしていますが側面のムシレの状態は全く見られず、小石が原因と判断しました。 当然、新品ベルトを加工せずに取り付けました。 
DPの場合は後輪が砂埃を巻き上げてラジエーターに沢山入り込んでいますので、ラジエーターの前にあるサーペンタインベルトにも小石が挟まって当然と考えられます。  兎に角、発見出来て良かったです。


次回はサーペンタインベルトの交換方法を書きます。  

間違ったACベルトが組み込まれているDPが少なくないらしく、この場合は冷却ファンを外さなくては取り外し(取り付け)は出来ませんし、更にその冷却ファンを取り外すには相当の時間が掛かり、余程整備に慣れている人、又は多種の工具を持っている人以外は無理だと思います。 この問題に該当している人があるかも知れませんので、ファンを外さずにACベルトが交換出来る方法と正しいベルトの長ささも後日説明します。

アイドリングはデイーゼルエンジンの寿命を短くする!

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前回、“デイーゼルエンジンはアイドル状態では温度が下がり、回転を続けるとオイルを劣化させて磨耗が進む”と書きましたが、質問が有りましたので今回はこの事に関して書きます。

10年以上前は高速道路のレストエリアに駐車している大型輸送トラックは全てと言って良い程エンジンを掛けっ放しにしていました。 しかし最近は、夏の砂漠地帯では冷房が必要で仕方がありませんが、エンジンを掛けっ放しにしているトラックが非常に少なくなりました。 レストエリアに依っては法的にエンジン停止を強制する警告サインが出ている所もあり、その様な場所ではエンジンを掛けているトラックは居ません。 

カミンズ社の説明書等にはよく“アイドリングはエンジンの為に悪く、極力避ける様に”との注意書きがありますし、RVフォーラム等にも書かれて居ますのでこの考えは一般的になって居ると思われます。  恐らくエンジンに悪い理由を説明出来る人は少ないかも知れませんが、“アイドリングはエンジンに良くない事”は殆どのRVerが知って居ると思います。

カミンズ社の次のサイトにアイドリングに関して漫画を交えて説明がされています。 偶々、カナダのサイトではありますが、アメリカでも全く同様です。 
http://www.planningforpeople.ca/is/sustainability_planning/energy/fuel/documents/Idle-Free_Cummins.pdf

この中の幾つかの要点を説明します。

題名 “アイドリングに対する誤った考え”

A. “悪いアイドリングの習慣が始まった理由”
• 1932年に最初のデイーゼルトラック(カミンズ製?)
• 大きなエンジンに沢山の荷物を積載
• エンジンオイルの粘度が高く、始動が困難
• インジェクションポンプのタイミングが単純で始動が困難
• 始動の際に熱が必要
• バッテリー並びに始動装置が貧弱で、エンジンが始動する信頼度が低い
• 燃料が安い
• 室内が寒い
• エアコンはオプション
• 空気ブレーキ用タンクの空気漏れ
• 以上の問題解決法としてアイドリングを使用

 
B. “アイドリングに対する間違った考え”
• デイーゼルエンジンは始動しない恐れがあるのでアイドリングを続けるべき
• アイドリングでデイーゼルエンジンはより温度が上がる
• デイーゼルはアイドリングでは燃料をそれほど消費しない
• アイドリングはエンジンに良い
• 低回転のアイドリングはエンジンに悪い(標準走行に対して)
• 周りの人は気にしない 

C. “アイドリングがエンジンに及ぼす影響”
• 1時間に2.5-4.5リッターの燃料消費
• アイドリング時は回転効率が非常に悪い為にエミッション排出
• アイドリング時は潤滑油の汚染が激しい(不純物が入る)
• 低温の為、不完全燃焼の燃料がオイルを洗い流し、シリンダーの磨耗を加速
• アイドリングはエンジンを過冷却する
• エンジン寿命が20%短くなる可能性がある
• 500時間のアイドリングで102400Km分の磨耗
• 騒音

 
D. “結論”
• アイドリングは燃料の無駄
• アイドリングはエンジンの寿命を短くする
• アイドリングは有害なエミッションを排出
• アイドリングは利益を妨げる
• アイドリングは少なく出来る


という訳で、納得頂けましたでしょうか?

カミンズ デイーゼルエンジン  その4 トランスファーポンプ (リフトポンプ)

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トランスファーポンプの機能が低下をしたり停止をしますと充分な燃料がVP44に行かなく成り、VP44は故障を起こします。 故障は燃料の潤滑作用や冷却作用の低下に因るオーバーヒートの為に焼き付きを起こしたり上部に取り付けてあるコンピューターが障害を起こしたり、又、無理をしてタンクから燃料を吸い出す為にBP44のポンプ機能が駄目に成ったりする為の様です。    

走行中にトランスファーポンプの機能が低下又は停止した場合は馬力低下、エンジンがシャックリ状態、ECMが燃料不足を察知してエンジン回転数が上がらない(デイレート)等の状態が起こる様ですが、VP44が噴射不能になるまで走り続ける場合もある様です。 

正常だったエンジンが始動し難くなった場合はトランスファーポンプが機能していない事が考えられますので、高価なVP44を保護する為にはトランスファーポンプを確認、悪ければ直ぐに交換が必要です。

VP44とトランスファーポンプに関する事柄はネットに多数出ています。 RVフォーラムにも多数書き込みがされており、交換部品も多数宣伝されています。 これは当然、故障が頻繁に起って居る事を意味します。 

トランスファーポンプの種類:
社外品も多数販売されています。 温度上昇を避ける為と思われますが、タンク内に取り付けるポンプもあります。 例えば、カミンズ製エンジンを搭載したダッジピックアップトラックの場合、修理サービスは全てダッジ(クライスラー社)が行っていて(カミンズ社に関係無し)、2002年以後のピックアップトラックにはトランスファーポンプを燃料タンク内に変更しました。 その為、従来のエンジンに取り付けるトランスファーポンプは販売停止になり、2002年以前のトランスファーポンプが故障を起こした場合もダッジデイーラーではタンク内式ポンプを取り付ける為に$1000掛かるそうです(参考: カミンズ純正トランスファーポンプは$200弱)。  尚、このポンプも故障を起こす事があり、交換の際は燃料タンクを下ろす必要があって不評です。 

従来のポンプより圧力が高い物や機能が停止してもVP44に負担が掛からない様に少ない抵抗で燃料が流れる事を宣伝しているトランスファーポンプもあります。

人に依ってはトランスファーポンプを並列に2個取り付ける事を勧める人も居ますが、余り燃料の圧力が高くなるとVP44の故障に繋がると言う人も居ます。 

ISB/ISCの燃料システム問題対処方法:
カミンズエンジンは燃費が良く評判が良いのですが、ISB/ISCエンジンのインジェクションポンプとトランスファーポンプには十分な注意を払う必要があります。 

プレッシャーゲージ又は警告ライトの取り付け:
基本的に、トランスファーポンプが正常に機能していればVP44は問題を起こさない様です。 しかし、トランスファーポンプ自体も故障を起こし易いので、故障を速やかに察知する事に尽きると思います。 前回のイラストの#2フィルターの出口に圧力センサーを取り付け、ゲージ又は警告ライトで確認し、異常が発覚した場合は速やかにスペアーに交換をする事だと思います。

ゲージには油圧配管で繋ぐメカニカルゲージ(安価)と、電気の線でセンサーと繋ぐエレクトロニックゲージがありますが、DP(デイーゼルプッシャー)の場合はエンジンが後方にある為に油圧配管は長過ぎて、エレクトロニックゲージが必要となります。 

この問題に対処する為のゲージや警告ライト並びにセンサーは種々出回っていて、ゲージの場合は30PSIが適切ですが、警告ライト用のセンサーは3PSIもあれば5PSIもある様です。

その他の対処法:
トランスファーポンプは電動式で、エンジン回転中は常に作動しています。 従って、状況次第では寿命も短くなります。 燃料フィルターはエンジンマニュアルに従っての交換が大切で、給油後に急に燃料圧力が下がった様な場合は汚れた軽油の為のフィルターの目詰まりも考えられます。 

何れにしてもトランスファーポンプのスペアーと燃料フィルターのスペアーを用意して於く事をお勧めします。

参考1:
燃料はよく売れているサービスステーションを利用し、人が余り利用しない様なサービスステーションは避ける方が良いと言われています。
昔、田舎町でガソリンを給油中にタンクが空になって出なくなった事があります。 店員が無理をして入れ続けようとした事も影響したと思いますが、そのサービスステーションを出た後しばらくしてエンジンの調子が悪くなり、キャブレーターに付いている小さな燃料フィルターを交換して何とか走れる状態にして帰って来た事があります。
又、タンクローリーがサービスステーションで給油作業中はタンクの底に沈んでいるゴミがカクハンされる為に避けた方が良いと聞いた事がありますが、現在はこの様な事は無いかも? 

参考2:
高速で走行直後は温度を下げてからエンジンを停止する事は大切だと思います。 カミンズに依りますと、高速走行後は3-5分間のアイドル後に停止、一般道走行後はその必要は無いとあります。
Prior to shutdown, an engine should be idled 3-5 minutes after extended full throttle or high power operation. However, under normal driving conditions, such as exiting a highway, engine operation is generally lighter in nature and thereby, the 3-5 minute cooldown is not necessary.

参考3:
カミンズ社は過度のアイドリングを禁止しています。 之は日本のバス等が行っているエコの理由では無く、エンジン保護の理由です。 即ちデイーゼルエンジンはアイドル状態では温度が下がり、回転を続けるとオイルを劣化させて磨耗が進むとの事です。


此れで一応カミンズの燃料システムに関しては終わりますが、要望がありましたらゲージの取り付け方法に関して説明します。 次回はカミンズエンジンで知って於きたい事を書く予定です。

カミンズ デイーゼルエンジン その3 カミンズエンジンの燃料系、並びに部品

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24バルブ(エレクトロニックス=ISB・ISC)はボッシュ製VP44インジェクションポンプが使用されていますが多数の問題が報告されています。 しかし、幾つかの事を注意すれば問題は起らないようですので、後ほどそれらを説明します。 尚、12バルブ(メカニカル、1997年以前)はボッシュ製P7100インジェクションポンプが使用されていて問題は殆ど無い様ですので、此処では前者の24バルブエンジン(1998年以降)に関して書きます(共通する部分も多数あります)。

概要:
燃料はタンクを出た後、フィルター#1、トランスファーポンプ、フィルター#2、インジェクションポンプ、インジェクター、そしてシリンダーに噴射され、余分の燃料はタンクに戻ります。 
燃料が進む順を追って説明します。

燃料システム:
1. 燃料タンク から トランスファーポンプ
トランスファーポンプはリフトポンプとも呼ばれ、エンジンの横に取り付けられていて、12V電源で燃料をタンクから吸い出します。 トランスファーポンプはイグニッションキーを瞬間的(1秒間)にスタートの位置にしてからオンの状態にしますと約25秒間作動し、又エンジンが回転している間は常に作動し続けます。 此の事はフィルターを交換する際の空気抜きには欠かせない機能です(後ほど説明)。 

トランスファーポンプが作動中はこの部分はバキューム状態ですので、配管に亀裂等が生じても燃料漏れは起こり難いのですが、空気が管内に吸い込まれてエンジンが停止したり始動出来ない常態になる可能性があり、又、隙間の程度によりエンジンを停止させると燃料漏れが生じる場合があります。  

この部分に取り付けてある燃料フィルター(イラスト中のフィルター#1)の下部は透明プラスチックで出来ていて、異物や水が見える様になっています。 フィルター交換の際はユニットで購入出来ますが、下部を外して上部のフィルター部分だけを購入/交換する事も可能です。

2. トランスファーポンプ から インジェクションポンプ
正常なトランスファーポンプは常に充分な燃料がインジェクションポンプに届く様に機能します。 その圧力はアイドリング時は10-15PSI、高速走行時でも少なくとも5PSIですが、3PSI以下に下がると問題です。 原因はフィルターの目詰まりもありますが、既に書きました様にトランスファーポンプの故障が少なくありません。 

トランスファーポンプはイジェクションポンプに取っては不可欠なコンポーネントです。 その理由は、トランスファーポンプが弱くなったり機能しなくなりますと、インジェクションポンプに過度の負担が掛り内部のダイヤフラムを駄目にします。 燃料は潤滑油としての機能を果たしますし熱を取り除く機能もありますので十分な燃料が行かなくなりますとインジェクションポンプはオーバーヒートを起こして上部にあるコンピューターの異常の原因となります。  初期のISBエンジンの中には焼き付きを起こす物が少なく無かった様です。

RVフォーラム等で最も多く目にするISBエンジンの故障の原因はVP44インジェクションポンプで、同時にトランスファーポンプの機能不良や交換も多数報告されています。 

インジェクションポンプは再生品でも$1000以上し、交換費用も含めますと$3000-$3500と言われています。

3. 燃料リターンライン
トランスファーポンプでインジェクションポンプに送られた燃料の内余分の燃料はインジェクションポンプのリターンラインから燃料タンクに戻されます。  リターンラインはインジェクションポンプにバンジョーフィテイングと呼ばれる楽器のバンジョーの形をした金具で取り付けられていますが、バンジョーフィッテイングを締め付けるボルトがプレッシャーレギュレーターの機能をし、トランスファーポンプから送られて来た燃料の圧力を調整します。 従って、このボルトを間違った物に交換して仕舞いますと規定の圧力を維持出来なくなり、インジェクションポンプを壊す原因に成りかねません。

参考:
オイルフィルターの交換は皆さん定期的に行っていると思われますが、燃料フィルターは如何でしょう? 実はエンジンの故障を防ぐ為にはオイルフィルター以上に大切だと思われます。 カミンズのマニュアルにはオイルフィルターと共に燃料フィルターも24000Km毎に交換が記されています。

次回はインジェクションポンプとトランスファーポンプの故障関連した事柄、特に防ぐ方法を書く予定です。