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ターボチャージャー、 その1 概略

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ガソリンエンジン:
日本車ではターボチャージャー付きはそれほど珍しくは無く、恐らく税金の関係で小さなエンジンから大きな力を得るのが目的なのでしょう。 アメリカでは、昔(1960台) スチュードベーカーアバンテイがスーパーチャージャーを装備していましたが、近年はガソリン車ではターボチャージャーが付いている乗用車やトラックは販売されておらず(?) (日本車を除き)、 例外は、ホットロッド、レースカー、その他自動車マニアが趣味で取り付けている程度だと思います。 しかし、今後、燃費向上をしながら同等のホースパワーを得る目的でエンジンを小型化してターボチャージャーを取り付ける事が考えられているようです。

デイーゼルエンジン:
デイーゼルエンジン車(トラック)は別で、最近のデイーゼル車には殆ど全てにターボチャージャーが取り付けられています。 デイーゼルエンジンにターボチャージャーが付いている理由は馬力を上げると共に、排ガス規制が厳しくなった近年は充分な空気を送り込んで排気ガスをきれいにして規制をクリヤーする事も理由のようです。

ターボチャージャーの仕組み (写真):
エンジンの排気ガスでシャフトの一方に付いているタービンを回転させ、同じシャフトの他方のタービンで空気を吸い込み、ピストンの下降に依る不圧で空気を吸い込むより大量の空気(燃料)をエンジンに送り込んで出力を上げます。 

回転数:
ターボ付きエンジンはターバインの回転数が上がるまでは威力を発揮出来ず、発進時に回転数が上がるまでに少々時間が掛かります。 回転数を出来るだけ早く上げれるようにターバインは軽量(頑丈ではない)に作られています。 
自動車エンジンのターバインの回転数を調べてみましたら90,000rpm、140,000rpm 200,000rpm以上と言う人もあり確かではありませんし、ターボにはウエイストゲート(無駄を吐き出す扉)と呼ばれる機構で回転数が上がり過ぎないように成されています。それでも恐らく50,000rpm以上の回転数にはなると思われます。 

ベアリング:
ターバインシャフトを支えるベアリングはベアリング材で出来た筒状の部品(フリクションベアリング)が使われています。 参考:日本語ではベアリングと言う名称は全てボールベアリング(ローラーベアリング、テーパーベアリング)を意味すると思いますが、軸を支える部品は全てベアリングと呼びます。 通常高速回転をする場合はフリクションベアリングの方が一般的で、軸がオイルの中に浮く状態で回転します。

精密部品:
ターボは空気が漏れない為に、そして高回転で振動を起こしてバラバラに成らない為に精密に作られています。

高温:
ターボはエンジン排気管に非常に近い場所(効率)に取り付けられていて排気ガスを全て受け入れますので非常に高温になります。

ターボは過酷な状況:
以上のように、ターバインは軽量に出来ていて、高温の状況で高回転をする精密部品ですので故障が起こり易い過酷な状況にあります。 当然ながら何らかの理由でターボにオイルが届かなくなったり、ターボ内でオイル路に異物が詰まりますと高温、高回転のタービンは焼き付きを起こします。 又、エンジン内より排気ガスに混じって異物がターボ内に入り込んだりフィルターの故障等で汚れた空気が吸い込まれますと、高速回転のインペラー(羽根)は曲がって故障を起こします。

次回はターボの故障に関して書く予定です。

“クレート”エンジンとは?

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“ショートブロック”、“ロングブロック”エンジンと関連して使われる言葉に“クレート”エンジンと言う言葉があります。 

“クレート”とは木材で簡単に作った運送用の木箱のことで、クレートに入って送られて来て直ぐに車に乗せることが出来るエンジンと言う意味で、“クレート”エンジンは“ロングブロック”エンジンより更に完成度は高く、バルブカバーやオイルパンは勿論、多くの場合キャブレーター、スターター、デイストリビューター、スパークプラグ、プラグワイヤー、排気マニホールド、オルタネーター、サーモスタット、オイルポンプ、ハーモニックバランサー、燃料ポンプ、ウオーターポンプ、デイップステイック、エアークリーナー等も含まれます。

“クレート”エンジンはGM Performance, Ford Racing, Mopar Performance、Edelbrock、BluePrint Engines, World Products, Dart、その他多数の会社で純正部品の他に、ホットロッドやレース用に製造された改造社外部品をも使用して量産されています。 手頃に購入出来る再生部品を使用した$2000台のエンジンから高出力のレース用エンジンまで幅広い種類が製造されていて、乗用車、トラック、RV用に購入する人も居ますが、クラシックカーに乗せたり、レースカーやホットロッドに乗せる人が多数います。

ネット上で“クレート”エンジンを販売している会社は多数ありますが、中でも次の2社は良く知られています。
http://www.jegs.com/c/Engines-Components_Engine-Assembled-Ready-to-Run/10763/10002/-1
http://www.summitracing.com/search/part-type/crate-engines

“ショートブロック”と“ロングブロック”エンジンとは?

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運転免許を持っていて運転に興味がある人は必ず聞いたことのある言葉に“ショートブロック”と“ロングブロック”エンジンがあります(アメリカに於いて)。 何を意味するか想像は付きますか?

前回書きました“ビッグブロック”、“スモールブロック”と同様に勘違いをしている人や理解をしていない人が大多数だと思いますが、自分でエンジン修理をする人達は誰でも知っている言葉です。

何らかの理由でエンジンの交換が必要な場合、例えばエンジンの焼き付き、エンジン内部の部品が壊れてクランクケースに穴、力不足の為に大きな排気量のエンジンが必要等色々考えられますが、日本車ですと日本からから輸入された中古エンジンとそっくり交換するのが安上がりです。

アメリカ車の場合は状況により色々な選択肢があります。 労賃が高い為にエンジン乗せ変え作業、中古部品の検査、変形したシリンダー等の機械加工等にはお金が掛かりますし、エンジン中枢部品が中古部品ですと寿命の心配もあります。 しかし、エンジン全てを新しくすると当然費用は高くなりまし、壊れたエンジンの中には再使用可能な部品もあります。

ここで出て来るのが“ショートブロック”と“ロングブロック”エンジンです。 これらはエンジン組み立ての状態、即ち即ち半完成エンジンの状態を意味します。
“ショートブロック”エンジン:
• クランクケース
• クランク
• カムシャフト
• タイミングギヤー
• ピストン
• ベアリング
以上が全て組み立てられた状態で、オイルパンの上からヘッドガスケットの下迄です。従って、オーバーヘッドカムの場合はカムシャフトやタイミングギヤーは含まれません。

“ロングブロック”エンジン:
• “ショートブロック”エンジン
• ヘッドガスケット
• ヘッド
• バルブ
• (カムシャフト)
• (タイミングギヤー)
以上が全てが組み立てられた状態で、オイルパン、インテーク、エグゾースト、キャブレーター、フューエルインジェクション、オールタネーター等を除いたエンジンです。

“ロングブロック”の方がより多くの部品が含まれていますので、取り付け時に問題が起こり難くはありますが、エンジンの中枢だけが壊れた場合は“ショートブロック”で充分です。 ヘッドが使い物にならない場合は、当然ですが“ロングブロック”を選択した方が現実的(総合的に安くて問題が少ない)です。

前回書きましたように、“ビッグブロック”、“スモールブロック”の系列には色々な大きさの選択肢がありますので、エンジンにウルサイ人はわざわざ“ショートブロック”を選択して好みのボアーやストロークに組み立てて貰い、ヘッドは別に購入します。


と言う事で、“ショートブロック”と“ロングブロック”とは長短の形状を意味している訳ではなく、エンジンの組み立て状態を意味します。 

注意:
日本ではエンジンの改造は法律上種々の制限があるかも知れませんが、アメリカではそれほど難しくなく、又、州に依っての規制に引っかかる部品等は予め知る事が可能です。 ホットロッドやレースカーの場合は規制はありませんので、馬力を上げる為に数え切れない社外製部品が販売されています。

それぞれの部品は年式に依ってサイズや形状が異なりますので、インテークマニフォールド、ヘッド、キャブレーター等の個々の部品を交換する場合は取り付け可能である事は勿論、機能が充分発揮出来るかに関しても充分調べる必要があります。
 

アメリカ車のエンジンの名称

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この所、454、7.4等の数字を何気なく使用して仕舞いましたが、これらの数字はエンジンの呼び名であると共に、エンジン排気量をcuin(cid = cibic inch displacement) 又は リットルで示しています。 アメリカ車の部品を買う場合には、此れまでに何度も書いていますように、エンジンの名称(サイズ)が必ず必要です(ネット等でアメリカ車部品の購入をされた方は経験済みだと思います)。 

日本車のエンジンには数字とアルファベットを組み合わせた多数の名称があり非常に複雑で私にはチンプンカンプンですが、アメリカ車のエンジンは排気量の大きさが名称で簡単です。 

エンジンサイズは二つのエンジン部品、即ちシリンダーとクランクシャフトの組み合わせで決まり、それらに適合したピストン、コネクチングロッド(コンロッド)、その他の部品が組み込まれて種々のエンジン(大きさ)が生まれて来ました。

シボレーエンジンの場合、シリンダーには“スモールブロック”と“ビッグブロック”と呼ばれる2種類のV8エンジンの系列があります。 

一般的に良く知られたエンジン名 (数字)をリストします。

スモールブロック: 
エンジン名:   265、305、327、350、307、400、その他

次のサイトに詳しい説明があり、ページ右の表をご覧になればお分かりのようにシリンダー径(Bore)は1/8(0.125)インチ間隔で、3.75、3.875、4.00、4.125等があり、ストロークも、3.00、3.25、3.50、3.75等となっています。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chevrolet_small-block_engine

ビッグブロック:
エンジン名:  396、402、427、454、その他

ビッグブロックも径とストロークは1/8間隔が一般的ですが、僅かの量を大きく(ボアーアウト)した場合もあります。
http://en.wikipedia.org/wiki/Chevrolet_Big-Block_engine

シボレー製シャシーのクラスAの殆どは“454=別名7.4(最初の数値はcuin、後はリットル)”を使用していますが、このエンジンは1970年にスタートし、1996年にVortec 7400が登場するまで製造されました。 長年製造された“454”と呼ばれるエンジンもクランクシャフト等種々改良が加えられて変化していますので、全て同じ部品が使用されている訳ではありませんし、キャブレーター、燃料噴射システムも多種あります。

注意:
ここに書いた説明を読んだ方には明らかだと思いますが、大きなエンジン又は400cuin以上のエンジンをビッグブロックエンジンと呼ぶと勘違いしている人も居ます。 当然ながら、スモールブロックやビッグブロックはエンジンブロックの名称で、スモールブロックの“400”はビッグブロックの“396”よりも大きなエンジンと言う事に成ります。

要旨が分かるように簡略化して書きましたので、詳しくは上に記したサイトをご覧下さい。

P32 454エンジンオイルレベル

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シボレー製シャシー(P32)を使用したクラスAには長年454cuin(7.4リッター)エンジンが使用されて来ました。 このエンジンのオイルの量はフル(イッパイ)の状態で7-qt(コート)です。

アメリカではエンジンオイルはQuart(コート=qt)と呼ばれる単位で売られていて、Quartとは1/4(4分の1)を意味します。 1-Galon(ガロン)は3.7854リットル、4分の1である1-qtは0.946リットルです。 

エンジンオイル量:
モーターホームに使われているシボレー 454(7.4L)のエンジンオイル量はクランクケースに6-qts、オイルフィルター(AC-PF35)に1-qt、合計7-qtsです。 リッターに換算しますと、6-qts =5.68リットル、7-qts=6.62リットルです。 

注意: 1リットルのオイル缶は1-qt缶より量が多い為7缶(7リットル)入れると多過ぎに成ります。

オイル量チェック温度:
マニュアル(頁8-9)に依りますと、デイップステイックを使ってエンジンオイルの量を正確に調べる温度は190度F(88度C)-200度F(93度C)だそうです。

デイップステイックの正確性:
“エンジンオイルの量を調べるデイップステイックの目盛りが正確では無く、オイルの入れ過ぎに成る場合がある事が判明した”とマニュアルに示されています。 更に、オイルの量が最低量より2-qts下がってもエンジン耐久性には問題は起こりませんが、正しいオイルの量を示す様にデイップステイックに正確な目盛りを記す事を薦めています。

デイップステイックに正確な目盛りを記す方法(頁7-9):
1. エンジンが熱い間にオイルを抜きフィルターを外します。 この際完全に抜く為に10分ほど待ちます。
2. 新しいオイルフィルター(AC-PF35)を取り付け、6-qts(5.68リットル)のオイルを注ぎ込みます。
3. エンジンを掛けて5分ほど回転させた後に停止させ、オイルがヘッド部分からオイルパンに下がる迄10分ほど待ちます。
4. デイップステイックを3度差し込んでオイルの量を確かめ、ヤスリを使ってデイップステイックに印(線)を付けます。 この線が最低量の印となります。
5. 1-qtを足して5分ほど待ち、同様に3度確かめて印(線)を付けます。 この線が最大量の印となります。

参考:
デイーゼルプッシャーのデイップステイックはエンジン会社では無くRV会社がそれぞれのモーターホームに合わせて製造されていて目盛りが不正確である事はRVフォーラムで時々目にします。 新車であるにも関わらずエンジンオイルを度々足さなくては成らない苦情があり、それらの多くは目盛りの位置が高過ぎてオイルを吹き出すのが原因です。 オイル消費量の多い場合は一度確認しては如何でしょう?

http://bdub.net/manuals/P30/P30.pdf


注意:
オイルは1リットル(1000ml=1000cc)容器で売られて居る物もあればコート(quart=946ml)もあり、又、4リットル(4000ml)、1ガロン(3.78ml)、3リットル(3000ml)等の容器もあり、価格的に買い得か否かと共に、オイル交換時に使用する量にも注意が必要かも知れません。 容器の大きさは同じに見えても、1qt容器のオイルを7個分のところを1リットル容器のオイルを7個入れますと378ml多過ぎる事になります。

AC Delcoスパークプラグ

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シボレーP32のスパークプラグに関して書く前にスパークプラグに表示されているコードの意味を説明します。 

スパークプラグは自動車エンジンの他にジェネレーター(オナン、ジェネラック、ホンダ、ヤマハ)、チェーンソー、ローンモア(草刈り機)等、色々のエンジンに使われていますので、サイズや機能も種々雑多です。 従って、間違った物を使用しますとエンジンが正常の機能を出せないどころか故障やエンジンを駄目にして仕舞う原因にも成りかねません。


AC Delcoスパークプラグに関しては次のサイトにコードの説明があります。
http://www.gonzomotorsports.com/toolbox/acdelcosparkplugidentificationtable/

ACDelcoのスパークプラグのコードは“接頭辞”-“番号”-“接尾辞”の順に並んでいます。

例えばコードが“R45TS”の場合:
R = Resistor
4 = 14 mm Thread
5 = Heat Range
T = Taper Seat
S = Extended Tip


“接頭辞”
B - Series Gap
C - Commercial
CS - Chain Saw
F - Fine Line 14 mm 5/8" Hex
M - Marine
LM - Lawn mower type
R - Resistor
S - Shielded (5/8-24 thread)
V - Surface Gap
Prefixes are sometimes combined e.g., VB, CR

“番号”
1番目の番号 ネジサイズ(THREAD SIZE) “4”は14mmを示す
2番目の番号 燃焼温度(HEAT RANGE)

“接尾辞”
A - Clip Gap
C - Copper Core Center Electrode
C - Colder Version of M44 Plug
E - Special Design Electrode Extended Tip
F - 1/2" (12.7 mm) reach (ネジ部の長さ)
FF - 1/2" (12.7 mm) reach, fully threaded
G - Pin Gap (cold -running)
I - Iridium Center Electrode
J - Boot Release Agent, Anti-Seize Compound
K - Special Design
L - Long Reach
7/16" (11.1mm) reach, (14mm) thread
3/4" (19mm) reach, (18mm) thread
3/4" (19mm) reach, (14mm) thread (fineline)
LT - Long reach, .715" (18.16 mm), Tapered Seat
M - Special Design Electrode
N - 3/4" (19 mm) reach, 3/8" (9.5 mm) thread length
R - Resistor (Sport Vehicle Plugs)
S - Extended Tip
S - 7/8" (22.3mm) Moderate Long reach 23/32" (18.25mm)
T - Tapered Seat Shell Design
TS - Tapered seat with extended tip
X - Wide Gap (H.E.I.) (high energy ignition)
XL - Extra Long reach, 3/4" (19 mm) fully threaded
Y - 3 prong cloverleaf electrode
Z - Special gap (usually denotes wide gap)
5 - .050" (1.3 mm) gap
6 - .060" (1.5 mm) gap
8 - .080" (2 mm) gap
100 - Iridium
600 - Resistor Type
800 - Platinum Type
900 - Double Platinum Type


シボレーはGM製で、GMの純正部品はAC Delcoですが、AC Delcoはフォード、ダッジ、その他日本車のスパークプラグも製造しています。 反対にACDelcoのスパークプラグを他社製(NGK、デンソー、オートライト、チャンピオン、その他)のスパークプラグに置き換える事も可能です。 次のサイトは適正な交換スパークプラグを探すのに便利です。
http://www.sparkplug-crossreference.com/

フロントホイールベアリングの調整方法 シボレーP32 シャシー

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以前、フロントホイールベアリングの調整方法を書いた事がありますが、今回はP32シャシーの正式な調整方法を書きます。

フロントホイールベアリング定期的メインテナンス:
12,000マイル(約2万Km)毎に古いグリースを取り除いてきれいにし、表面の傷、磨耗、ヒビ割れ等を検査し、問題が無い場合は高温グリース(約260度C)をベアリング並びに隙間に十分塗り付けます。 グリースは GM部品番号1051344又は同等以上の品質の物を使用します。

フロントホイールベアリングのチェック:
注: 全ての“P”シリーズにテーパーベアリングが使用されていて、正しく取り付けられている場合は僅かに緩み(遊び)を感じます。 損傷の原因になりますので、プリロード(遊びを無くす為に予め強いトルクで締め付ける)は決して行わないで下さい。

1. ジャッキで下のアームを持ち上げてタイヤを浮かせる
2. ホイールを回転させて異音や滑らかに回転するかを調べる
3. 異音、回転し難くさ(硬い)、遊びが多過ぎの何れかの場合はベアリングの状態を調べる
参考: ベアリングの遊びを調べる場合はタイヤの上部と下部を交互に揺らす。 若し0.001インチ(0.0025mm)以下、又は0.005インチ(0.127mm)以上の場合は調整が必要

フロントホイールベアリングの調整:
1. ホイールカバーを外す
2. ハブ先端のダストキャップを外す
3. スピンドルナットからカッターピンを抜く
4. 前方向にホイールを回転させながらスピンドルナットを12ft-lbで締め、接触面内のグリースを押し出す
5. スピンドルナットを極く少量緩める
6. 指で再度締め付けた後スピンドルの穴とスピンドルナットの溝が最初に合致するまで緩める(1/2ナット平面以下)
7. 新しいカッターピンを差し込んで曲げ、ダストキャップに邪魔に成らないように余分の長さを切る
8. ベアリングの緩さを調べ、タイヤ上部と下部の揺れが0.001インチ(0.0025mm)以上で0.005インチ(0.127mm)以下であればOK
9. ダストキャップを取り付ける
10. ホイールカバーを取り付ける
11. ジャッキを下げる
12. 同じ作業を反対側のベアリングにもする

簡単な作業ですが、グリースは異物を吸着し易く、異物が混入しますとベアリングの破損や緩み(遊び)の原因になります。

http://bdub.net/manuals/P30/P30.pdf
頁3-8 - 頁3-9

P30は存在するのでしょうか?

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前回、私は何気なくシボレー “P30” マニュアルに関して書きましたし、多くのシボレー製モーターホームに乗っている人は誰でも使っている名称です。 しかし、実際には非常に複雑で、此れまで多くの議論がされて来ています。 実際に“P30”と呼ばれるモーターホームのシャシーモデル名が存在すると信じている人は沢山いますが、存在しないと自信を持って言い切る人も少なくありません。 どちらでも良い事の様ですが、部品購入やアライメント調整等には正確なモデル名を知る必要があります。

ここに書く事は、私が此れまでにフォーラム等で読んだ事を元に書きますので、私の意見も入り決して正確とは限りませんが、“P30”の呼称は複雑で、即ち、“P30” モーターホームにお乗りの方は修理、部品購入時には“P30”の呼称を気を付けて使用する必要がある事は分かって頂けると思います、

メーカー(シボレー、ワークホース-1999年以降)の“P30”:
一般に“P30”と呼ばれているシャシーの多くは上の写真のような配達用のバン用で、其の中にモーターホーム用に使われたシャシーも含まれています。 1999年にワークホース(Workhorse)に“P30シャシー部門”が身売りされてからはW16、W18、W20、その他のワークホースのモデル名に加え、その後も“P32”のモデル名でも2005年まで製造されました。 其の為、ワークホース製シャシーは“P32”、それ以前のシボレー製シャシーは“P30”と考えている人も少なくありません。 

しかし、“P30”を最初に製造した当時にシボレーで“P30/P32”の設計に携わっていた人があるフォーラムで意見を述べていましたが、1970年に最初に製造された際はモーターホーム用シャシーは“P32”との名称を使用したそうですが、その後曖昧になってしまったそうです。 実際、1970年から1999年のマニュアル等に“P32”又は“P30/P32”のように記載されているのを見ます。

VIN(Vehicle Identification Number)番号の“P30”:
モーターホームシャシー(“P30”)のVIN番号は例えば次のようです(上の数字は桁数を示す)。
12345678901234567  桁
1GBLP37N8S3xxxxxx  VIN番号

VINは製造国、場所、メーカー、製造年、装備、その他を示しますが、“P30”モーターホームの多くに共通して言える事は、5,6,7桁がP,3,7である事です。 “P”は前方制御(Forward Control)、“3”は1トン車(大きさを示す単なる比較数値で1トンの意味は無い)、“7”はモーターホームシャシーを意味します。 この3桁を続けた“P37”はモデル名でも無く何も意味がありません。

我々がネットでVIN番号を調べますと全て“P30”で表示され、“P32”での表示は出て来ないそうです。 

“P30”に関連したモデル名:
デーラーにはVINからモデル名を検索する事が出来、次のモデル名の種類があるそうです。
P31842, P31442, P30842, その他 = “P42”
P31832, P31932, P32032, その他 = “P32”

全てPで始まり、2桁目から4桁目までの数字はシャシーのホイールベースの長さを示します。
305= 110"
308= 125"
310= 133"
311= 137"
314= 157"
318= 178"
319= 190"
320= 208"
321= 228"

最後の2桁の“42”は配達用のトラック(一般的にポテトチップトラックと呼ばれる)、“32”はモーターホームを示し、現実的には“P42”はトラックモデル、“P32”はモーターホームモデルとなるようです。 尚、モーターホームシャシーである“P32”はシャシーの構造が“P42”と相当異なるそうです。 稀のようですが、小型クラスAモーターホームの中にはP42 シャシーを使用したものもあるそうです。

結論:
読まれた方は大分混乱して迷惑されていると思いますが、此れが現実です。 即ち、P30、P32、P37、P42、その他、P10、P15、P20、P25、P30、P35、P57、G20、G30等、それぞれに共通部品もありますが、全く互換性の無い部品も多数あります。 従って安易に“P30”部品を購入してもモーターホームには使用出来ない可能性も大いにあります。 

シボレーシャシーに詳しい人達の間では、厳密には“P30”との名称のシャシーは無く、モーターホームシャシーの殆どがP32との事ですが、余りにも多くの人が余りにも頻繁に“P30”の名称を口にして来ましたので今後もシボレー製モーターホームシャシーは“P30”と呼ばれる事でしょう。